最近では自分がやりたいことやいくら稼げるかといったこと以外にも、その職の将来性や今後などを考えて職選びをする人も多いようです。中でも注目を集めているのが、グラフィックデザイナーという仕事です。パッケージや看板、サイトデザインにいたるまでさまざまな所で活躍するグラフィックデザイナーですが、今後の展望はどうなのでしょうか。
将来性はあるが何でもよいというわけではない
ポスターデザインなどの従来型の媒体や、ウェブ広告のデザインなどといった最新のものまで、グラフィックデザイナーの仕事は多岐にわたります。私たちの身の回りから広告や商品パッケージなどが消えることは考えにくく、ある程度の将来性は保証されていそうですが、実際の所はどうなのでしょうか。
結論からいえば、将来性はあるものの、どんな場合でもそれが担保されるわけではないというのが現状になります。具体的にいうと、自身でデザイン以外の付加価値を生み出せるグラフィックデザイナーの将来は明るいといえます。指示されたデザインにおける改善点を見つけて対応できる、ビッグデータなどを活用してデザイン案に活かすことができるなどといったその人ならではの強みがある人材は、どこの企業も必要としています。
逆に、単に指示されたデザインをこなすだけのグラフィックデザイナーの将来は明るくないかもしれません。なぜなら、そのような業務内容であればAIなどで対応できるようになる可能性があるからです。そのような指示から作業という一方通行の業務は、AIなどの最も得意な分野といえます。
人材不足などの社会的ニーズに応えるために、今やさまざまな分野でのAIや業務システムの開発が進められています。それがこのデザイン分野に入ってくることも充分考えられ、スキルのない人材からAIなどに変えていくという企業もあるでしょう。技術の向上も大事ですが、自分にしかできない何かを見つけることも怠らないようにしましょう。
業界全体の将来の展望はどうなっているか
そんなグラフィックデザイナー業界ですが、業界全体の展望というのはどのようになっているのでしょうか。まずは現状ですが、ハイクラス人材の若年化というのが進んでいるようです。近年の傾向として、広告やウェブデザインなどのトレンドの移り変わりが速くなっているという現実があります。
そうなると、若い感性が必要になり若年層で頭角を現しているデザイナーがビッグプロジェクトなどに抜擢されることが多くなります。そうした事実から、将来の展望として業界全体の若年化というのが進んでいくとみられています。もちろん、経験と実績を重ねたグラフィックデザイナーというのは必要ですが、その比率は下がっていくかもしれません。
また、広告媒体のウェブ移行が進んでいくともみられており、これまで以上にウェブデザイナーとの連携も多くなるといわれています。グラフィックデザイナーのデザイン領域は紙媒体などで有限ですが、ウェブデザイナーはウェブ上なので無限です。この意識の違いを埋められるような相互理解が、これまで以上に重要になってきます。
そんな中をどう生き抜いていくべきか
では、そんなグラフィックデザイナー業界をどう生き抜いていけばよいのでしょうか。先ほど述べたように、自分にしかできないスキルなどを身に付けるということも大事ですが、コミュニケーション能力を身につけるということも考えておきましょう。自分のデザインのコンセプトを伝えたり修正点のニュアンスを伝えたりと、的確なコミュニケーション能力があるといろいろな所で重宝されます。
さらに、将来的にウェブデザイナーとの連携が多くなっていくことを考えても、コミュニケーション能力というものは必要不可欠になります。それ以外にも、より自分を求めているような企業があればすぐ転職ができるようにアンテナを張っておくなどの、臨機応変さも必要でしょう。
グラフィックデザイナーの仕事は内容にもよりますが、ある程度将来性が保証されている業界といってよいでしょう。ただ、今後もそうした状況のまま推移するとは限りません。
デザインのことなど直接業務に関する技術的な面に目を向けることも必要ですが、法の改正や業界全体のトレンドなど、仕事を取り巻く環境の変化にも敏感になっておいた方がよいでしょう。その時勢に合った業務や動きを心がけて、変化のスピードが速いとされるこの業界を生き抜いていきましょう。