グラフィックデザインを学ぼうと考えた時にまずぶつかるのは、学校選びです。なんとなくイメージとしては、美術系大学や専門学校が浮かぶでしょう。
美術系大学と専門学校には大きな違いがあり、大きな違いは基礎教養があるのかという点になりますが、細かな違いも色々ありますので比較しながら見て行きましょう。
美術系大学と専門学校の違い
まず、美術系大学と専門学校の違いとしては、大学であれば卒業までが最短でも4年で、専門学校であれば2年または3年となっているところが多いです。大学の場合は、人によっては大学院へ進学すると卒業までに6年もかかるなんてこともあります。そのため、必要単位数にも違いがあります。
大学の場合は124単位以上が必須条件で、専門学校は単位数ではなく授業数として800時間以上が必要となります。大学を卒業するまでに、こんなに時間がかかるのは、基礎教養が必修となっているためとも言えます。基礎教養とは、基本的な美術の歴史や考え方や技術などを学ぶ科目で、どのコースの学生も1〜2年生は基礎教養を履修することになります。
専門的な内容ではないのですが、デザインの考え方のベースになったりしますので、後々、役に立ったという人も多いようです。美術系大学と専門学校との大きな違いには、学位や称号にもあります。大学を卒業した場合には、「学士」の称号が与えられます。また、大学院まで卒業すると「修士」が与えられることになります。
比べて、専門学校の場合は2年以上で総授業時間数が1,700時間以上であれば、「専門士」。4年以上で総授業時間数が3,400時間以上のであれば「高度専門士」の称号が与えられます。この学位によって何かが変わるわけではありませんが、就職先によっては初任給の給料に差が出ることはあります。もちろん、現場は実力主義ですので、実力さえあれば初任給の差などはすぐに逆転することも可能です。
何を目指しているのかでも選択肢は変わる
要は、美術系専門学校だと、美術に関していえば専攻科目以外も広く学ぶことができるのです。反対に専門学校は、即戦力のグラフィックデザイナーを養うための学校と考えると良いでしょう。ですので、就職先にも違いがあります。
美術系大学を卒業した人は主に、デザインやクリエイティブ職、一般の会社の総合職、学校の教員になる人が多くいます。そのため、就職先は、デザイン会社から広告代理店、製造メーカー、製作プロダクションなどになります。対して、専門学校の場合はデザイン職につく人がほとんどとなり、大抵の人がデザイン事務所に就職することになります。
美術系大学の方が、就職先の選択肢は広いと言えます。しかし、中には美術系大学に通いながら専門学校で専門技術を勉強する人もいるくらい、専門学校での勉強は内容が特化しています。さすがは、専門職を育てるための学校というところです。
最終的な結論とすれば、美術系大学と専門学校では専門学校がおすすめです。学生で、将来はグラフィックデザインの仕事がしたいと考えていたり、社会人でこれから目指す人には一番早く技術を学ぶことができるのは専門学校です。もちろん、美術系大学でもグラフィックデザインを学ぶことは可能なのですが、専門学校の方が即戦力を育てるのに向いていると言えます。
ただし、大学は4年間で色々なことを学びますが、専門学校は短期間でのプログラムになっています。そのため、課題製作がメインとなっていてかなり忙しい学生生活になります。それでも頑張って付いていくための気持ちが大切になってきます。