グラフィックデザイナーは装丁の仕事もできる?装丁家の仕事とは

公開日:2025/10/01

装丁

書籍の「顔」ともいえる装丁は、読者の心を惹きつける大切な要素です。実は、グラフィックデザイナーも装丁デザインの仕事を手がけることができます。では、装丁家とはどんな職業なのでしょうか?この記事では、装丁家の仕事内容やグラフィックデザイナーとの関係についてくわしく解説します。

装丁家の仕事とは

「装丁家(そうていか)」とは、ブックデザイナーとも呼ばれています。本のカバーや表紙、帯、扉、見返しといった「本の外側」をデザインする専門家のことを指します。装丁は、単なる見た目の装飾ではなく、読者が本を手に取る最初の「入口」を作る、非常に重要な工程です。

印象的なカバーデザインはそのまま本の売れ行きにも直結するため、装丁家の果たす役割は大きいといえるでしょう。ただし、「装丁」と「ブックデザイン」という言葉は、厳密には次のような違いがあります。

装丁は、本のカバー・表紙・扉などの外側のデザインが中心で、反対にブックデザインは、表紙だけではなく、本文の書体や行間、判型など本全体のトータルデザインを行うのです。

つまり、装丁家が本の顔をつくる「表層のデザイン」に特化するのに対し、ブックデザイナーはそれを含む「全体設計」を担う職業ともいえます。

一冊の本ができるまでの装丁家の仕事の流れ

1.編集者との打ち合わせ

まずは、編集者から本の内容やコンセプト、ターゲット層についてヒアリングします。納期や予算もここで確認します。

2. イメージを膨らませる

次に、本文原稿を読み込み、世界観を理解します。装丁家は、本というメディア全体への造詣と愛情が求められる仕事です。明確な要望がある場合もありますが、多くは装丁家の自由な発想に任されます。

3. 素材の選定・企画

どのような写真やイラストを使うか、誰に依頼するか、既存作品を借りるかを検討します。限られた予算内で最適な表現を模索していきます。

4.発注と制作

装画やイラストの発注を行い、カバー案を複数制作します。編集者と意見を交わしながら、レイアウトや配色の調整を重ねていくのが一般的です。

5. 素材選びと校正

紙の種類、加工方法、印刷の色数などを選定し、編集者と校正を行います。素材の選び方ひとつで本の印象は大きく変わるので重大な工程です

6.入稿と色校正

印刷所にデータを渡し、色校正(初稿)を確認。色味や版ズレがないか慎重にチェックし、必要があれば再調整します。

7. 完成

入稿から約1か月後、書店に本が並びます。重版の際には帯の文言を差し替えて再入稿するなど、継続的な対応も求められます。

ブックデザイナーに必要な資格・試験情報

ブックデザイナーになるために、特別な資格は必要ありません。必要なのは、経験とセンス、そして積み上げてきたポートフォリオです。

実際の作業には、IllustratorやPhotoshopなどのデザインソフトの操作スキル、タイポグラフィやレイアウトに関する知識、加えて印刷・加工・紙に関する実践的知識が必要となります。

しかし特別な資格は必要ないとはいえ、色彩検定などの民間資格は役に立つこともあるので、デザインに関する資格や検定は受けておいて損はないでしょう。

グラフィックデザイナーは装丁の仕事もできる?

結論からいえば、「グラフィックデザイナーが装丁の仕事をすることは可能」です。むしろ、現場ではブックデザイナー=グラフィックデザイナーという扱いをされることも少なくありません。

実際に多くの装丁家は、専門学校や美術系大学でデザインを学んだあと、はじめは出版社やデザイン事務所に就職し、ポスターや広告、雑誌レイアウトなどを手がけるグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートさせ、出版物のデザインへとステップアップしています。

しかし、編集者との信頼関係やコミュニケーションも重要です。ある程度の実績と人脈がなければ、コンスタントに装丁の仕事を得るのは難しいのが現状です

また、書籍の装丁は「芸術的要素」と「商業的要素」の両方を高いレベルで求められる仕事であり、デザイン力だけではなく本を読む力や表現する力も問われます。グラフィックデザイナーが装丁の分野に進出するには、本という媒体特有のプロセスや慣習に慣れる必要があるでしょう。

本の仕事をする以上は、書籍や文学に強い興味があることはもちろん、雑誌やフリーペーパーのレイアウト経験がある方、タイポグラフィに強みをもつ方、印刷会社とのやり取りに慣れているグラフィックデザイナーは、装丁の仕事に向いているといえるでしょう。

まとめ

本の装丁は、作品の魅力を最大限に引き出し、読者と出会わせる「舞台づくり」ともいえる仕事です。装丁の仕事には本への深い理解と独自の表現力が求められますが、グラフィックデザインのスキルをもつ人にとって、ブックデザインの世界は新たな表現の場となる可能性に満ちています。本を愛し、デザインを愛する人にとって、装丁という世界はきっとやりがいのあるフィールドとなるでしょう。

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