グラフィックデザインにおいては、いくつかの基本をマスターしておくことでよりよいデザインを生み出すことができます。そこで今回は、グラフィックデザインにおける「余白」と「カーニング」にまつわるテクニックを詳しく解説します。本記事を参考に、デザイン初心者脱却を目指してください。
デザインにおける余白の概要
余白はデザインのクオリティに大きな影響を与える重要な要素です。一般的に余白は「余ったスペース」と考えがちですが、デザインにおいては「意図的に作られた空間」として扱われます。
美しいデザインには、適切な場所に計算された余白が存在しており、これがデザイン全体の魅力を引き立てています。デザイン用語で余白は「マージン」や「ホワイトスペース」とも呼ばれ、これをうまく活用することでデザインの質を高めることが可能です。
情報の詰め込みすぎはNG
情報を伝える際に「画面を情報で埋め尽くしたい」という衝動に駆られることがあります。しかし、情報を詰め込みすぎると、何を一番伝えたいのかが曖昧になります。適切な余白を設けることで、視覚的な情報の整理が行われ、伝えたいポイントが明確になり、より効果的に伝わるようになります。
余白の役割を正しく理解することも大切
余白はその役割が画面内で異なることも理解が必要です。ある要素を強調するための余白と、タイトルと本文を分けるための余白ではその目的が異なり、それぞれ異なる機能を持っています。
また、余白の量を調整することでデザインの印象も変わります。たとえば、余白を多く取ることでシンプルで洗練された印象を生み出し、一方で余白を少なくして情報を詰めることで賑やかで活気のある印象を与えることが可能です。
デザインにおけるカーニングの重要性
カーニングはデザインにおいて「文字詰め」のことを指し、隣り合う文字の間隔を調整して見た目を整える技法です。テキストの文字間隔は数値上では均等に設定されていても、文字の形状により視覚的に不均等に見えることがしばしばあります。
そこでカーニングを活用することで、見た目のバランスを調整し、視覚的に均一な文字間隔にすることが可能です。これにより、文字の読みやすさが向上し、見た目の美しさが増します。PhotoshopやIllustratorには、自動でカーニングを調節する便利な機能が備わっており「メトリクス」や「オプティカル」などの選択肢が提供されています。
これらの機能を利用すればある程度自動的に文字間を調整できますが、最終的な仕上げとして自分の目で細かく確認し、調整することが大切です。微調整を行うことで、文字が与える印象がより整い、全体的なデザインの質が高まります。
カーニングとトラッキングは異なる役割を持つ
カーニングと似ている用語として「トラッキング」がありますが、この二つは異なる役割を持っています。カーニングは隣り合う文字同士の間隔を調整するのに対し、トラッキングは文章全体の文字間隔を調整します。
トラッキングはとくに欧文フォントで使用されることが多く、文字の右側の余白が詰まるため、使用時には注意が必要です。カーニングとトラッキングを効果的に使い分けることで、デザイン全体の見た目や印象が大きく変わります。目的や表現したいイメージに応じて適切に選択することが求められます。
まとめ
グラフィックデザインで高品質な作品を生み出すためには「余白」と「カーニング」の重要性を理解することが欠かせません。余白は単なる空間ではなく、意図的に設計され、情報の整理や視覚的な焦点の明確化に貢献します。余白の量によりデザインの印象が変わり、シンプルで洗練されたものから賑やかで活気あるものまで表現が可能です。一方、カーニングは隣接する文字の間隔を調整し、文字の読みやすさと美しさを高めます。自動ツールを活用しつつ、最後の仕上げとして目視で調整を行うことで、全体の質をさらに向上できます。