グラフィックデザイナーというクリエイティブな仕事に憧れているものの、「グラフィックデザイナーでは食べていけない」と耳にすることもあり、本当に生活していけるのか、年収はどのくらいなのか気になる方も多いでしょう。そこで今回は、企業に属しているグラフィックデザイナーは食べていけないといわれる理由や平均年収を解説します。
グラフィックデザイナーが食えないといわれる理由
近年、グラフィックデザイナーの仕事が食えないといわれる理由はいくつかあります。まず、デジタル化やペーパーレス化の流れにより、従来の印刷物や広告の需要が減少しており、需要が減少していることが背景にあります。
グラフィックデザインよりも、オンライン広告やデジタルメディアの普及により、企業の宣伝や広告活動はデジタル領域にシフトしています。その結果、従来のグラフィックデザイン業界における需要が減り続けているという現状があります。
さらに、Webマーケティングの領域が急速に成長しており、個人の需要にフォーカスした広告表示が可能なデジタル広告が重要性されています。やみくもに紙媒体で宣伝するよりも、インターネットの検索結果や決済情報から、個人に向けに広告を表示できるデジタル広告の方が、効率的であるため需要が拡大しています。
そのほか、クラウドソーシングの普及により、フリーのデザイナーや海外のデザイナーに企業が仕事を依頼するケースが増えています。クラウドソーシングでは、デザイン業務を世界中のデザイナーに委託することができるため便利ですが、個人が自由に単価を設定できるため価格競争が激化し、仕事を獲得するために低価格でのデザイン作業を行うデザイナーがおり、単価が安くなる傾向にあります。
このような複数の理由により、グラフィックデザイナーは安定した収入を得ることが簡単ではなく、「食べていけない」と表現されるようになったといえます。
グラフィックデザイナーの年収相場
グラフィックデザイナーの年収は、企業の規模や経験、スキルレベルなどによって大きく異なります。
たとえば、厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、グラフィックデザイナーの平均年収は約478万6,000円、イラストレーターの平均年収は約486万9,000円となっており、アートディレクターの平均年収は約584万4,000円となっています。ひとえにデザイナーといってもさまざまな職種があり、職種や経験、スキルによって年収に差があります。
なお、初めての就職や転職では、最初から平均年収を得ることはむずかしい可能性が高く、いわゆる下積み時期は低収入に悩むこともあります。とはいえ、経験を積んだり、スキルを磨いたりすることによって、将来的に年収アップのチャンスを得ることができるほか、将来的に独立して継続的に依頼を受けられるようになれば、安定した収入を得られるケースもあります。
これからも食っていけるデザイナーの特徴
デザイン業界は競争が激しく、グラフィックデザインの仕事だけで生活している人はそれほど多くありませんが、一方で人気のデザイナーがいるのも事実です。ここでは、これからも食っていけるデザイナーの特徴について紹介します。
まず、グラフィックデザイナーには、優れたデザイン力が求められます。美的センスやデザイン理論に加えて、情報を伝える能力も重要です。また、デザインを作成するためには、IllustratorやPhotoshopなどのツールを使いこなすスキルも必要です。ツールに熟達し、柔軟にデザインを創造できるデザイナーが求められます。
次に、コミュニケーション能力の重要なポイントとなります。デザイナーはクライアントとのコミュニケーションを円滑に行う必要があり、要望を正確に理解し、自身のデザインに反映させる能力が求められます。聞き取り力や表現力を高め、クライアントとのコミュニケーションを円滑に行えるデザイナーが成功します。
このほか、トレンドに敏感であることも大切です。デザイナーは時代のトレンドを把握し、新鮮なデザインを提供し続けること求められます。常に情報収集をし、トレンドを取り入れたクリエイティブなデザインを提供できれば、ほかのデザイナーと差別化できて人気を得られます。
まとめ
グラフィックデザイナーの仕事だけでは生活できないといわれることもありますが、一方で人気を得て仕事が絶えないデザイナーがいるもの事実です。そのため、絶対に生活できないのではなく、スキルが高く他のデザイナーとの差別化が図れている人は生き残っているといえます。
食べていけるグラフィックデザイナーになるには、スキルや経験を磨くのはもちろん、トレンドに敏感であったり、コミュニケーション能力が高かったりすることも大切であるため、どのようなスキルが大切かポイントを押さえておきましょう。