広告から映画・雑誌など、さまざまな媒体でグラフィックデザインが多用される時代となりました。このデザインを手掛けるのがグラフィックデザイナーで、学校に通ってプロのスキルを身に付けてから業界デビューへと至ります。この学校では2年間在籍したのちに卒業となりますが、その際は卒業制作が必須なのか詳しく見ていきましょう。
そもそもグラフィックデザインとは何?
グラフィックデザインは写真とは異なり、デザイナー自身の感性を活かした絵を表現することで、それを行うアーティストがグラフィックデザイナーと呼ばれます。昨今ではコンピューターを駆使したCGを扱う人が多くなりましたが、表現する手法は鉛筆からカラーペン・墨などアーティストの趣向によって異なります。
日本で初めてグラフィックデザインが登場したのが江戸時代からと言われており、当時は英語ではなく絵草子と呼ばれていました。薬屋の広告から歌舞伎の案内・瓦版の挿絵などがあり、絵師という職業でした。現在の呼び名になったのは1970年代からで、企業の宣材ポスター等を担当する職業になっています。
2020年12月時点で国内には約120万人のグラフィックデザイナーが存在しており、グラフィックデザイン学校が計910あります。デザイナーになるには必ずグラフィックデザイン学校に入学して、基礎技術を身に付けないといけません。その後、各アトリエや企業へと就職をして、さらにスキルアップを目指します。
グラフィックデザイン学校で学べることとは?
全国に計910のグラフィックデザイン学校があり、約20万人の学生が在籍しています。1990年代までは東京や大阪といった大都市圏に集中していましたが、現在では地方都市にも多く存在しています。
各学校によってカリキュラムの内容が異なっていますが、すべてに共通しているのが「デッサン」「造形」「コンピューター操作」の3つあります。デザイナーにとって自身が思い描いているものを絵にすることは、とても大切な技術です。
デッサンに時間を多くとっている学校が大半で、週10時間もの講義時間を実施しているところもあるほどです。さらに平面ではなく3Dという形で表現をするための造形というカリキュラムもあり、粘土を用いて作品作りをおこないます。
2000年以降はグラフィックデザイン学校で必須となったのがコンピューター操作です。現在ではCADというソフトを用いてパソコンでデザイン画を制作するのが一般的となり、学校でも基本操作を教えています。
卒業制作は必ず提出をしないといけない?
グラフィックデザイン学校も一種の専門学校となっているため、2年間に在籍期間のあとは卒業へとステップを進めます。その卒業に必要なものとして挙げられるのが、卒業制作作品の提出でしょう。これは全生徒が必ず提出をしないといけません。
その理由で挙げられることは、今の自分自身が有しているグラフィックデザインのスキルのレベルを講師や同級生に示すためです。実際にデザイナーとしてデビューをするためには、非常にハイレベルなデザイン力と独創性が求められます。
常に技術を磨いてスキルを高めることとなり、学生の段階で今の自身の能力をしっかりと把握することも必要です。卒業制作とは2年間という短い期間の集大成を表現するものであり、制作をすることで入学前と後でどれだけ技術を伸ばせたのかを知る手がかりにもなります。専門学校の卒業は指定単位を獲得すれば可能ですが、大半のグラフィックデザイン学校では各生徒の技術を知るために、卒業制作を課しています。
以上、グラフィックデザインの概要と学校で学べること・卒業制作作品の提出について見てきました。グラフィックデザイナーは多方面で活躍できる職業で、自身の感性を武器にすることができます。その感性と技術を磨くためにも卒業制作は欠かせないものです。